「ある監督の記録」と「フィルムは二つあった」について

これも週刊チャンピオン初出時と単行本収録時で改題・改作が行われているもの。
野崎という映画監督の息子をBJが治療する様子を記録映画にする大筋は同じ。
元の「ある監督の記録」では息子は「脳性マヒ」で、BJは脳に電流を流し、運動中枢を
刺激するというオペで治す。
改作された「フィルムは二つあった」では息子は「デルマトミオージス」で、BJは腫瘍の
切除、交感神経切断というオペで治す。

「ある監督の記録」でややこしいのは、BJの
脳性マヒははっきり運動中枢の異常なんだ(中略)この中枢にロボトミー
刺激を与えれば機能が正常になるきっかけになると…

というセリフ。

ロボトミー:精神分裂病患者などの前頭葉白質を切除する手術。人格の荒廃をきたす
として、現在では行われていない (講談社日本語大事典より)
さらに詳しく書くと、ロボトミー手術は、精神病というものが脳の前頭葉と他のパートの
誤った神経の繋がりによるもので、その繋がりを切断して再び成長させれば治る、
という考えのもとに生まれた手術。だから脳の一部を取ったり切ったりというものでは
ない。手術法も頭を開くのではなくこの写真の「アイスピックロボトミー」とよばれたもの
などがあった。(CNN.comより)

だから、「ある監督の記録」でBJがやった手術はロボトミーじゃない。でも
手塚治虫がロボトミーと誤って書いてしまった…。で、「ロボトミー」という単語や
手術後の息子の「ぼくは自分ではっきり治っていくのが 人並みの体になって
いくのがわかります」
 というセリフなどのせいか、チャンピオン連載後に抗議が
あったらしい。それで

おわび

 秋田書店発行の週刊少年チャンピオン(一月一日号)に掲載された、手塚治虫作
「ブラック・ジャック」第一五三話「ある監督の記録」で描かれたロボトミー手術は、
人格を破壊する危険な手術であり、日本精神神経学会で禁止された手術です。
このような脳性マヒ者、精神障害者に有害、かつ無益な同手術を肯定したこと。
いわば人体実験として行われてきたロボトミー手術を美化し、脳性マヒ者等障害者
(精神障害者、身体障害者)を健全者に同化すべきものとして描き、障害者差別を
助長したこと。ひいては保安処分を導入する刑法改正を肯定したこと。

 右内容により、脳性マヒ者を含む障害者の方々、及び、ご抗議を受けた
「青い芝の会」等関係団体各位に、ご迷惑をおかけしたことを深く反省し、おわび
申しあげます。尚今後、障害者差別をなくしていく立場で行動していく所存で
ございます。

     一九七七年二月一〇日

                   株式会社 秋田書店
                   手塚プロ 手塚治虫

という謝罪文を全国紙に載せて、「ある監督の記録」は単行本収録時には
「フィルムが二つあった」に改作された。
でも手塚治虫が「ロボトミー」を間違った使い方してるんだから、そのロボトミーに
関しては抗議も謝罪もズレてると思う。こんな謝罪文を書くしかなかったのかなぁ…

二つを見比べると「ほんと上手くかえるなぁぁ!」と思う。監督がBJにみせる息子の
フィルムとか、手術シーンとか。今までに記事にした改作作品みんなそうだけど。
と、この作品に関してはまとめるのが面倒そうだし今さら私が書かなくてもググれば
いくらでも詳しい文章でてくるし…と思ったけどやってみた。
ロボトミーについて詳しくなれた。思ってたのと違った…!
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